令和元年12月定例議会一般質問原稿メモ

三鷹市の財政上では、平成30年度は、国民健康保険制度の運営の都道府県化が実施され、安定的な財政運営や効率的な事業の確保など、制度運営の中心的な役割を東京都が担うこととなった。介護保険及び後期高齢者医療の保険料改定をはじめとして、社会保障制度に大きな変化が集中的に表れる年度となりました。地方消費税の清算基準の見直しなどが行われる中で、国庫負担割合の引き上げや低所得者創の負担軽減に、充分な財政支援が得られず、国民健康保険の財政運営は一般会計からの多額の法定外繰り入れを行わざるを得ない。社会保障施策に係る経費は増加傾向にあり、決算における民生費の構成割合は近年50%を超えることになっており、さらに団塊の世代のすべてが75歳になる「2025年問題」など、さらに増高することが予測されている。

このように、財政運営の厳しさが増す中で、持続可能な自治体運営を進めていくためには、増高する医療費の最適化に努め、法定外繰入金の抑制に努める必要があり、行財政改革を通して、サービスの質と量の最適化を図る必要がある。そのためには、事業の法的根拠や財源などの基本情報を整理する「事務事業の棚卸」の実施強化を図り、EBPM(Evidence Based Policy Making)の考え方を基に「事務事業総点検運動」を強力に進める必要があると考える。また、財政状況が限られている中で、安定的・継続的に施策を展開してゆくためには、国・都の施策を取り込み、交付金などの財源をしっかり確保する必要がある。なお、本定例会で上程される予定の国民健康保険の補正予算には、触れないよう、答弁お願いします。

目次

1 医療費の適正化に向けた取り組みについて

(1)概算医療費、国民医療費から読み取れる課題と三鷹市の現状について

ア 三鷹市における現状について

厚生労働省は、2018年度の概算医療費を発表した。2018年度の概算医療費が前年度から約3000億円増の42兆6千億円となり、過去最高を更新し、伸び率は0.8%。一人当たりの医療費は4千円増の33万7千円であった。

一人当たり医療費は、75歳未満で22万2千円に対し75歳以上では4倍を上回る93万9千円に達した。22~25年にはさらに団塊の世代が後期高齢者になり、さらに医療費の膨張が見込まれる。厚労省からは同時に、全額自己負担も含め医療機関の受診や訪問医療などの費用の全体額を示す17年度の「国民医療費」も公表された。

前年度比2.2%増の43兆710億円だった。
一人当たりの年間費用の変化、2000年からの16年間で見ると、65歳以上の高齢者は10%増だった一方で、65歳未満は24%増えた。特に子供は4割も伸びており、地方自治体の助成によって診療回数が増えたとみられる。
自己負担を含む医療費を年齢層別に示した厚生労働省の統計によると最新の16年度時点で後期高齢者は一人当たり年90万9600円、65歳未満の18万3900円の約五倍だ。
2000年度から増加率は若い世代ほど高くなった。75歳以上は9%増えたのに対して、45~64歳は16%増、15~44歳は25%増であった。14歳までの子供は42%増と75歳以上の約4倍の伸びだ。

Q1医療費の増については、高齢化や医療の高度化が影響していると考える。医療費の公的負担の膨張を抑えるには、高齢化や医療の高度化以外の要因について詳しい分析も必要と考えます。ご所見を伺う。

Q2三鷹市における医療費総額、診療種類別医療費、年齢階級別医療費の年次別推移をどのように把握し、分析を行い施策に活かされているのかご所見を伺います。

再質問

三鷹市の医療費については、三鷹市における医療費総額、診療種類別医療費、年齢階級別医療費の年次別推移などのデータを基に、経過、現状を知ることにより、課題、解決策を明確にし施策の決定、展開できるものと考えます。三鷹市の現状は「国民医療費」も公表された結果と同様な傾向を示しているものと考えますが、国の制度改正については、しっかりと運用に取り組まれているものと考えますが、その中にも地方自治体として取り組まなければならない課題はあるものと考えます。また、国の法制度外の自治体で取り組まなければならない課題に対応する施策、三鷹らしさを実現する施策の展開を行わなければなりません。そのためには、EBPM(Evidence Based Policy Making)の考え方を基に要因、原因究明が必要であり、そのためには、データの蓄積と、そのデータの分析、解析が必要であり、的確な運用に努めることが大切と考えます。

再Q 今後のEBPMのためのデータ処理について、どのように取り組まれるか伺います。
厚労省の3年ごとの「患者調査」の受診率では、一日に人口10万人当たり何人が入院や通院したかが年齢層別にわかる。
0~14歳の外来は17年度に4536人で、02年度から29%増えた。15~34歳は4%増。35~64歳、75歳以上は3~5%マイナス。
病院で受診する子供が増え、医療費を押し上げた構図が見えてくる。
背景にあるのは子供向けの自己負担の軽減だ。医療保険制度では子供の自己負担割合は2000年度時点で3割だったが、02年度に3歳未満は2割となった。2割負担の対象は2008年度から就学前の子供に拡大された。
子供の医療費では、2000年度以降に自治体が独自に助成する動きも広がった。
厚労省によると2000年度以降に自治体が独自に助成する動きも広がった。09年度4月時点で通院費を15歳まで助成する市区町村は345だったが、18年度には1007と約3倍に増えた。18歳までが対象の市町村は2から541に急増した。
こうした助成は子育て世帯を支え、少子化対策にもつながる半面、過剰受診の要因となることは否定できない。

Q3国の統計では、若い世代の医療費の伸び率が大幅に大きいが、その要因をどのように分析されているのか、今後の在り方についてのご所見を伺う。

Q4 10月から義務教育就学児医療費助成については、小学生の所得制限が撤廃されました。そのことに伴う医療費への影響と今後の在り方について伺います。

再質問

1.新型コロナウイルスワクチン接種体制の確立

医療費の公的負担の膨張を抑えるには、高齢化以外の要因について詳しい分析も必要だ。各種の分析情報から、医療費の年次別推移を見てみると、制度改正による医療費の増減が読み取れる。また、医療費の中で、診療種類別医療費、年齢階級別医療費の年次別推移などの分析から課題の抽出、解決策、施策の最適化の研究が必要だ。

若い世代の医療費の伸び率が大幅に大きいが、厚労省によると2000年度以降に自治体が独自に助成する動きも広がった。2009年度4月時点で通院費を15歳まで助成する市区町村は345だったが、18年度には1007と3倍に増えた。こうした助成は子育て世帯を支え、少子化対策にもつながる半面、過剰受診の要因となることも予測できる。このような自治体による法定外の補助金の在り方についても、しっかりとしたデーターの分析・解析により、研究の余地があると考えます。

再Q今後の法定外の補助の在り方についての考え方をお伺いいたします。

イ 高価な医薬品の使用について

厚労省によると、2015年度の医療費の前年度比増加率3.8%のうち、高齢化の影響は1.0%分だった。
高齢化以外の要因の一つに挙げるのは「医療の高度化」だ。
インフルエンザ治療薬は、2001年発売の「タミフル」は1日2回服用で5日間服用で自己負担を含む薬剤費は、2720円だ。
2018年発売された「ゾフルーザ」は1回の服用で済むが薬剤費は4789円「体重80キログラム未満の成人」で、タミフルの2倍近い。
こうした高価な医薬品の使用により、医療費の高い伸び率となった可能性がある。

Q5高価な医薬品の使用に伴う影響について、分析されているかをうかがう。また、その分析結果を検証し、今後の取り組みに生かすべきと考えるが、所見を伺う。

ウ レセプト分析について

レセプトには、患者氏名、性別、生年月日といった個人情報だけでなく、受診した医療機関名、病名、診療月に行った薬、処置等の点数が記載されていることから、その情報の活用を推進する必要があります。

Q6、レセプト情報の分析によって、医療費がかかっている要因がある程度明確になるものと考えるが、その分析結果をどのように把握しているのかを伺う。その分析結果を踏まえ、今後の取り組みについて伺う。

診療報酬の改定は、原則として2年に1度、予算案の決定に合わせて行われ、医師・看護師など主に医療従事者の人件費などの診療本体と、薬の公定価格である薬価に分かれ、年末に向けて議論が本格化します。医療サービスの質の向上・効率性向上につながるものであることを望むものです。

生活習慣病などの薬は有効性と安全性を第一に、より低コストの処方指針をつくり、診療時はその処方を原則とすることにより、重複処方や過剰投与を減らし、患者の身体的・経済的な負担を減らすことにつながるものと考えます。これからの医療費削減への取り組みは、行政がリーダーシップを発揮し、医師、病院、調剤薬局が連携して取り組まなければならない課題であると考えます。そのためには、レセプト情報の分析がなくてはならないものと考えます。

再Q今後のレセプト分析の在り方について、医療費削減への、医師、病院、調剤薬局が連携の在り方について伺います。

再質問

(2)予防医療について

政府は6月に閣議決定した成長戦略実行計画で「公的保険制度における疾病予防の位置づけを高めるため、保険者努力支援制度(国民健康保険)の抜本的な強化を図る」と明記した。
関連予算枠の拡充と成果に連動した交付金の減額制度の導入はその具体策で、予防医療や健康づくりへの取り組みを推進する狙いだ。
厚生労働省2020年度から 予防医療への取り組みが不十分な自治体に「罰則」を科す。事業ごとに点数を設け、実施率が低い自治体には交付金を減らす。一方では、実施率が高い自治体では手厚く交付金を配分する。予防医療の強化を促すためのものである。
国民健康保険「国保」では、特定健診(メタボ検診)の実施率や健康診断の受診率、後発医薬品の使用割合などが高い自治体に交付金を手厚く配分する制度がすでにある。
19年度までには1000億円の予算枠を設けてきた。20年度以降は1500億円を原資に、過去の実績よりも実施率が下がったり、全国平均率より低かったり、といった項目があった場合、各得点数が減る。点数が低いほど交付金も減る。ある項目で高い点数を取っても、ほかの分野の実施率が低いと相殺される。
予防医療や、健康づくりにまんべんなく取り組まないと交付金が増えない仕組みに改め、自治体による予防医療への動機づけを強める。

Q7特定健診(メタボ検診)の実施率や健康診断の受診率、後発医薬品の使用割合の向上などへの取り組みについて現状について伺う。

Q8保険者努力支援制度(国民健康保険)にかかる取り組みについて伺う。

交付金の1部は新たに設ける予防・健康づくりに必要なお金に充てる。具体的には、医療機関の専門職による保健指導、住民の健康や医療情報のデータベース構築、各種検診へのICT活用などに使れる。
残りはこれからの事業の達成度合いに連動して自治体に交付する原資にする。

Q9医療機関の専門職による保健指導、住民の健康や医療情報のデータベース構築、各種健診へのICT活用などについての現状と今後の取り組みについて伺う。

再質問

再Q三鷹市においては、データヘルス計画などに基づき地域の実情に応じた多様な保健事業を展開し、住民協議会や老人会などの多くの場所、機会をとらえて取り組まれております。その取り組みが保険者努力支援制度の活用に跳ね返ってまいります。その質と量を再検討し、効果的、最適化に検討をする必要があると考えます。市民の予防医療や、健康づくりにまんべんなく取り組むための指標ともなり、市民の健康長寿につながるものと考えます。また、予防医療や健康づくりへの取り組み,各種検診、健康診断のICT化は推進する必要があり、医療情報のデータベース構築により効果の高い取り組みが可能と考えます。また、交付金の獲得につながるものと考えます。ご所見を伺います。

平成31年3月に、東京都の健康・医療情報にかかるデータ分析事業報告書が発表されました。都道府県 は、区域内の市町村ごとの健康課題や保健事業の実施状況を把握するとともに、市町村 における健康・医療情報の横断的・総合的な分析を行い、保健事業の推進に課題がある 市町村への助言及び支援を行うなど、市町村と連携することとされました。
区市町村は、データヘルス計画などに基づき地域の実情に応じた多様な保健事業を展開しています。
区市町村が取り組む保健事業について、実施方法や実施内容を整理し、区市町村ごとに取組内容を分類化し、効果検証を行ったものです。

《再々質問》

東京都の健康・医療情報にかかるデータ分析事業報告書に記載されている対象とした保健事業は、平成30年度保険者努力支援制度(市町村分)の評価指標として設定されている項目を参考にして選定されました。整理、検証に当たっては、保険者努力支援制度の取組内容の他、KDBシステムの医療費データ、平成30年7月に厚生労働省が実施した「市町村国民健康保険における保健事業実態調査」の結果等を活用し作成されました。
報告書を見ると、三鷹市のデータヘルス計画などに基づき地域の実情に応じた多様な保健事業を展開していますが、それぞれの対象事業の評価は、実施されているもの、実施しているが十分でないものなどとなっているが、その事業の必要性、効果の有効性、実効性、地域性などの検証が必要と考えられます。また、市民の健康増進への意識への動機づけ、啓発、醸成が必要と考えます。
再再Q東京都の健康・医療情報にかかるデータ分析事業報告書の検証、保険者努力支援制度への取組内容の検証、充実についてご所見を伺う。また、KDBシステムの医療費データの今後の活用について伺う。

【まとめ】

三鷹市が被保険者の健康を保持増進し、医療費適正化を図るためには、医療費等の データに基づき地域の健康課題を明確にした上で、保健事業を展開する必要があります。ターゲットを絞った効果的な保健事業の企画立案・評 価ができるよう、KDBシステムの医療費、健診データを活用し、生活習慣 病の発症・重症化予防の観点から、疾病別医療費や、喫煙・飲酒などの生活習慣の状況、 血圧や血糖値などの健診結果を分析する必要があります。EBPM(Evidence Based Policy Making)の考え方を基に、財政状況が限られている中で、安定的・継続的に施策を展開してゆくためには、KDBシステムの医療費データ、「健康・医療情報にかかるデータ分析事業報告書」の分析、解析を行いサービスの質と量の最適化を図り、的確な施策運営を行い、保険者努力支援制度(国民健康保険)の国・都の施策を取り込み、交付金などの財源をしっかり確保する必要があり、法定外繰入金の抑制に努める必要があります。

市民の健康増進への意識への動機づけ、啓発、醸成を強化し、市民の意識、参加意欲を高め、やりがいを満足させ喜びにつながるシステムの構築が必要と考えます。

EBPM(Evidence Based Policy Making)、KDBシステムの医療費データの活用に期待して、一般質問を終わります。

【対象とした保健事業と三鷹市の結果について】

① 特定健診の受診勧奨について

② 特定保健指導実施率向上に向けた取組について

③ 糖尿病性腎症重症化予防事業の取組について

① ~③については、個別通知による利用勧奨はAランクであったが、未利用者に丁寧な干渉が、医師会のかかりつけ医との連携が求められている。

④ がん検診受診率向上に向けた取組について
胃がん、大腸がんは実施されているが肺がん、子宮頸がん、乳がんについては、特手英謙信とがん検診の同日実施がされていない。

⑤ 歯周疾患検診の取組について
歯周歯科検診実施

⑥ 後発医薬品の使用促進の取組について
差額通知の実施及び、通知前後の切り替え確認を実施しているが、使用割合について医療保険者の取組 の他、医療機関の取組、患者の認知度、医薬品の供給体制など、様々な要因が関連して いると考えられます。 今後、使用促進を図っていくために、区市町村だけではなく被用者保険の医療保険者 の取組や、医療機関・患者等の実態を把握し、効果的な取組の横展開や安心・安全に使 用できる環境整備について検討していく必要があるとしている。

⑦ 重複服薬者に対する取組について
実施していない。 重複投薬や多剤投与については、副作用などの健康被害に加え、医薬品の飲み残しな どによる医療費の無駄につながります。 このため、区市町村が行う被保険者の適正服薬に向けた保健指導などの取組を推進し ていくことが必要です。:保健師等の専門職が面談・訪 問にて個別指導を実施している またはかかりつけ医・薬局・薬剤 師のいずれかと連携した取り組 みを実施している

⑧ 健康教育・健康相談の取組について
メタボリックシンドローム該当者及び予備軍の減少に向けた取り組み(健康教育・健康相談)の状況について、健康教育では、飲酒対策、COPD対策が実施されていない、健康相談では、生活習慣病の疾病別健康相談、健康診断結果による健康相談、禁煙相談が実施されていない。
区市町村は健康増進法第17条1項に基づき、健康教育及び健康相談を実施しています。
集団健康教育は、生活習慣の予防 そのほか健康に関する事項について、正しい知識の普及を図ることにより、「自らの健 康は自らが守る」という認識と自覚を高め、健康の保持増進に資するために行います。 個別健康教育は、疾病の特性や個人の生活習慣等を具体的に把握しながら、継続的に健 康教育を行うことにより、生活習慣行動の改善を支援し、生活習慣病の予防に資するた めに行います。 健康相談は、心身の健康に関する個別の相談に応じ必要な指導及び助言を行い、家庭 における健康管理に資するために行います。

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